2014年9月2日火曜日

生まれてはじめての入れ歯 (金属床)

ある 夏の日に前歯が痛いから診てほしい患者さんが来院されました。

70代の女性です。

他の歯医者で治療途中の前歯に大きな虫歯 があります。

これが 痛みの原因でした。


口の中には4本の歯が残っています。 

患者さんは、入れ歯を入れていませんでいた。

私は てっきり 歯が痛いから、

入れ歯を入れていないのかとおもっていました。

実は彼女 生まれてこの方、

入れ歯を入れたことがないそうです。

上下に13本しか残っていませんので、

すでに15本抜けているわけです。

患者さんに理由を聞くと 

歯医者が嫌いなのよ と おしゃいました。

でも 今回は家族に 「見た目も悪いから 何とかしろ」と 

言われたらしく 意を決して入れ歯を作るそうです。


実は、このような方は非常に入れ歯を作るのが、難しいのです。

通常 歯は1本ずつ抜けます。

一気に15本も抜けません。

1本抜けたから1本の入れ歯、3本抜けたから 3本の入れ歯というように 

徐々に入れ歯は大きくなります。

つまり 入れ歯に慣れているのです。 しかしこの方は違います。

70年目にして初めての入れ歯。 それも15本分の入れ歯です。

大きな入れ歯 慣れるのに時間がかかる可能性があります。


このような方や かみ合わせが大きく くずれている方には 

治療用義歯と呼ばれる物を作ります。

下の写真 右が 治療用義歯で 左が 最終入れ歯です。

この右の入れ歯を使用しながら、かみ合わせの調整や 

違和感がないかどうかを確認するのです。

最初から最終入れ歯を作り、もし 慣れるのに多くの 調整を必要したとすると、

入れ歯はかなり汚くなってしまいます。

治療用義歯で十分 調整し、しっかり使用できるのを確認して

コピーするかのごとく 最終入れ歯を作製します。





患者さん もっと早く入れ歯作ればよかった とおっしゃっていました。

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